高槻第4中学校区学習会資料 ~高槻市における「義務教育学校」~ 2024.12.8
1.「義務教育学校」のはじまりは第四中学校~第四中学校区における「連携型小中一貫教教育」の経緯~
・2010(平成22)年~2012(平成24)年:研究開発校として文部科学省から委託
同時に「小中一貫教育推進モデル校」として、高槻市教育委員会から指定
・2013(平成25)年:「連携型小中一貫教育校」を高槻市教育委員会より認定
・2013(平成25)年:「教育力向上事業による連携型小中一貫教育研究」を高槻市教育委員会より委嘱
・2014(平成26)年~2015(平成27)年:「授業改善推進モデル校区」を高槻市教育センターより委嘱
・2016(平成28)年~2017(平成29)年:「授業改善推進モデル校区」を高槻市教育センターより委嘱
・2016(平成28)年:市内すべての小中学校が、連携型小中一貫校として承認
・2016(平成28)年:「小中一貫教育学校の在り方について」の答申をだす
第四中学校区が施設一体型小中一貫校を設置する校区として効果的である等の方向性が示される
・2018(平成30)年:「学びに向かう力の育成モデル校区」を高槻市教育センターより委嘱
・2019(平成31)年~2020(令和2)年:「学びに向かう力の育成モデル校区」を高槻市教育センターより委嘱
★2021年度
高槻四中の学校案内より
本校区には、赤大路小学校・富田小学校とともに、『~いまとみらいにかがやく~ゆめみ らい学園』という学園名があります。ゆめみらい学園は平成25年度に、高槻市で初めて 連携型小中一貫教育校区として承認を受けました。小中一貫の取り組みのときには、中学 生を7年生から9年生と呼び、小学校とのつながりを意識しています。 ゆめみらい学園では、9年間を通して子どもたちを育んでいけるよう、さまざまな取り組 みを小中一貫して行っています。 |
・「義務教育学校」は、「小中一貫教育」を効果的・継続的に実施していくために制度化された新しい学校の種類です。
・今まであった小・中学校は廃校となり、新しく「義務教育学校」として開校する。
例:豊中市にある庄内さくら学園⇒3小学校と2中学校が「義務教育学校」に
(3小学校:庄内小学校・野田小学校・島田小学校、2中学校:第六中学校・第十中学校)
※2006年教育基本法が改定(改悪)され、義務教育の目的が明確化⇒小中連携教育へ
小学校低学年の教員は「中学校を卒業するときの姿をイメージしながら日々の教育活動を 行っているのか?」中学校の教員は「小学校のどの段階で何を学んで、何につまずいて今 の姿があるのかを知ったうえで日々の教育活動を行っているのか?」
※2012年12月、第2次安倍内閣の中で教育提言を行う私的諮問機関として「教育再生実行会議」がつくられ、2014年に、「義務教育学校の制度化を積極的に推進」を提言する。
この提言を受けて2015年に、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育 学校」を可能とする改正学校教育法が成立した。
2.2021年3月、高槻市教育委員会より「第2期高槻市教育振興基本計画」が示される
・高槻市では、教育施策の基本となる「第2期高槻市教育振興基本計画」が、2021年度から2030年度の10年間を計画期間として策定され、重点課題として5つの項目が設定された。
①「安全・安心な学校づくり」
②「すべての中学校校区に、施設一体型小中一貫校の設置」
③「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の推進」
④「ICT機器を活用した教育の充実」
⑤「教職員の資質・能力の向上」
・②の「すべての中学校校区に、施設一体型小中一貫校の設置」
⇒2016年、「小中一貫教育の効果をさらに高めるため、施設一体型小中一貫校を設置することが望ましい」と小中一貫教育学校検討委員会が提案。
⇒2021年、四中校区に施設一体型小中一貫校の建設を発表。
⇒四中校区保護者・住民の会が中心となり各団体、市民の協力も得て反対運動がおこり、 9月の高槻市議会で市長が凍結宣言をする。
⇒その後、他の中学校校区に施設一体型小中一貫校の設置の動きはなかった。
・③「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の推進」
⇒2004年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、学校を管理する教育委員会の判断によって、学校運営協議会をおくことが可能になる。
⇒2015年3月4日、教育再生実行会議がすべての公立小中学校に学校運営協議会を設置し、「コミュニティ・スクール」の普及を図るよう提言する。
⇒「コミュニティ・スクール」は「学校運営協議会」という組織を設置している学校。
主な役割は次の3つです。
1.校長が作成する学校運営の基本方針を承認する。
2.学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる。
3.教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる。
・PTAや学校評議員制度との違い
⇒持っている権限の大きさと、設置者の違いがある。
「コミュニティ・スクール」の設置者は教育委員会。
学校の教育内容に口出しができる。
学校の人事に影響を及ぼす力を持つ。
・「コミュニティ・スクール」のねらいは、「学校の管理統制を強める」こと
子どもの主体性の尊重など目的としていない(子どもの姿が見えない)。
・「義務教育学校」と「コミュニティ・スクール」
⇒京都では、「コミュニティ・スクール」を利用し、地域が「義務教育学校」の設置を求めているとして設置を推進。
3.2024年の3月議会で、
①「連携型小中一貫教育」のさらなる伸長に向けて、新しい学校形態「義務教育学校」へ
・「連携型小中一貫教育」を進めるためには、現在の小・中学校の学校制度には限界がある。
・高槻市の18中学校すべてに「義務教育学校」を設置する。
※「すべての中学校校区に、施設一体型小中一貫校の設置」が「義務教育学校」に変わったのか?
※教育委員会は、施設一体型だけでなく併設型・分離型の「義務教育学校」の設置も考えている。
②高槻市のすべての校区に「義務教育学校」を設置するための審議をする「学校教育審議会」の設置を決定。
③5月、高槻市のすべての学校を「義務教育学校」とするための審議会がスタート。
④2025年11月には、答申が出される予定。
・教育委員会は連携型小中一貫教育の成果として、学習指導面・生徒指導面・地域連携・学校組織の4つをあげているが。
⇒学習指導面:全国学力・学習状況調査のデータをもとに学力は着実に向上といっているが、「連携型小中一貫教育」の関連性は示されていない。
⇒生徒指導面:情報共有が進むといっているが、「連携型小中一貫教育」でどのように進んだのか示されていない。
⇒地域連携 :コミュニティスールのスタートといっているが、2で触れたようにコミュニティスールには大きな問題がある。
⇒学校組織 :管理職および教職員の協働・連携といっているが、現場は会議が増え働き方改革と逆行している。
・教育委員会は「連携型小中一貫教育」は一定の成果を上げているが、今の制度(小・中が別々)には限界があ→新しい学校の形態として「義務教育学校」の設置と言っている。
⇒この論理は、文部科学省と同じ。
⇒本当に「連携型小中一貫教育」で成果が上がっているのかが示されていない。
・4回の「学校教育審議会」(第3回は豊中市立庄内さくら学園の視察で、傍聴はなし)が開かれたが
⇒議長が指名しないと発言がない状態で、活発な議論はない。
⇒第4回の視察の報告でも、美辞麗句が並んでいる。
(新しい施設、さくら学園校長の良い面だけの話、マイナス面を見せない視察)
4.問題点・疑問点思いつくままに
・3のような「義務教育学校」の動きがほとんど市民に知らされていない。
・また、市民の意見を聞く場もなく、一方的に進められている。
・高槻市内の59の小・中学校は、改修等の工事が進んでおり、予算を使っている小・中学校を統廃合するのか。
⇒すべて耐震化を終えており、エアコンの設置は更新が始まっている。
⇒体育館のエアコンの設置始まっている。
⇒教室やトイレ、その他施設のの改修。
・施設一体型の場合
⇒2中校区では、2000人を越えるマンモス校になる。
⇒どこに新しく校舎を建設するのか。
⇒校時(小学校は45分、中学校は50分授業)など小中の違いをどうするのか。
・分離型の場合
⇒教育課程をどのように考えているのか(5・4制、4・3・2制の問題)。
⇒児童・生徒や教職員の移動をどうするのか。
・18中学校校区で「義務教育学校」を建設するための予算をどのようにまかなうのか。
・小学校と中学校の文化の違いがあるなか、児童・生徒にとってどのような影響があるのか。
・PTA活動や学校を中心とした地域コミュニティはどなるのか
・芥川小学校、寿栄小学校など2中学校に進学する場合、校区割をどうするのか。
・PTA活動や学校を中心とした地域コミュニティはどなるのか。
・中学校の部活、学童保育をどうするのか。